宿題その4 海を見つめて話すボラデュ

ボラデュ 
プロット箇条書き

デューンとボラージュ達五人は時を同じくして、同じ世界線からリユニ世界に召喚される。
二人はサガ世界から此方の世界に呼ばれた存在なので、この世界のことをまだよく知らない。
デューンは元の世界に居た時のようにシリュー達と共にボラージュの指揮に従っている。
ボラージュはこの世界に来た時「新たな世界には新たな知識があるのだ。それを学べて自分の糧に出来ることはこれ以上ない幸運だと思った方がいい」と言っていた。
デューンにはたまにボラージュの言うことがわからない時がある。
彼は常に博識で思慮深く、まるで学者のようでもあり、しかし戦闘における彼の戦いぶりは歴戦の戦士にしか見えないのだ。

(この人は父さんと一緒に革命軍に居たんだから、そりゃ強いのは当たり前なんだよな)
(でも俺はボラージュさん本人についてはよくわからないんだよなぁ)

リユニ世界に呼ばれたボラージュとデューンは海を見ながら二人並んで話している。
「……こんなにも穏やかな海があるものなのだな」
「俺も、そう思っていました。こうして見ていても信じられません」
彼等の元居た世界では、海は異次元からの侵略者が攻めてくる恐ろしい存在でしかなかったからだ。
見渡す限り一面の青はどこまでも穏やかで、どこまでも終わりが無く、きっと世界の果てまで途切れないのだろう。

「…………私は、ずっと世界の真実を知りたいと思っていた」
穏やかな海を見つめたままボラージュは話を続ける。
彼が自分のことを話すのは珍しいことなので、デューンは黙って話を聞いている。

「この世界は一体何なのか、世界の真理とは存在するのか、この世界全ての答えがどこかに書かれている書物が何処かに眠っているのではないか………と思っていたのだ。
私は、ずっとそれを探しに行きたいと思っていた」
ボラージュの声は穏やかだった。

デューンはボラージュのことをよく知らない。
(ボラージュさんて不思議な人なんだよなぁ)
デューンはずっと彼について疑問に思っている。
彼は一体どんな出自と経歴を持つ男で、何を考え、何を想っているのか。
(俺はボラージュさんが何を考えているのか、いつもわかんないんだよな)
ボラージュは思っていることを中々話さないからだ。

「……思っていた? 今は、どうなんですか」

デューンが尋ねると、ボラージュは困ったように笑った。

「……正直、今もそう思っている。
しかし、今の私は世界の真実を探しに旅に出るつもりはないのだ」
「どうしてですか? 夢は、諦めたんですか?」
デューンは彼の真意を汲み取れず、いささか無礼なほどに直球で尋ねた。

ボラージュの回想になる。
天上に浮かぶ水瓶。サガ世界と異次元世界。
志半ばで死んでいった戦友達。
親友の首を持ち逃げ帰ったあの日。ステスロス。
幼い子供たち。まだ全てが終わっていない過去の世界。
子どもたちの手を引いて歩いた夕焼けの空。

「…………戦う理由があるからだ」

ボラージュは自分が経験したサガ世界での全てが、異次元から来た自分から見たら失い難い、かけがえのない思い出だと考えている。
永い時間をかけて、ようやく自分が辿りついた確かな答えだった。

ボラージュは自分の横に居る年若い少年をじっと見つめている。
(この子達の未来は…………)

「お前は…………」
ボラージュはデューン達を鍛え、導くのが今の自分の使命だと思っている。
ボラージュにとってデューンは輝かしい未来の象徴のような存在なのだ。
それをデューンは知らないままだ。

(そうだ、この命を賭して戦う価値がある程に)

デューンは隣に居るボラージュの横顔を見つめた。
デューンから見ると大分大人だが、まだ若い青年の、決意を秘めた顔がそこにある。
二人は黙っていつまでも海を見つめている。

「ボラージュさん、今何を言いかけたんですか?」
ボラージュは穏やかな笑顔のまま答える。
「…………内緒だ」

ボラージュとデューンはいつまでも並んで空と海を見上げている。
何処までも広がる無限の青である。

(完)

私はSスタイルボラージュのホーム画面での台詞がすごく好きだという話です。
「この世界の真実はどこにあるのだろうね?わたしはそれを知りたいのだ」は推しキャラ好き台詞上位に入る
ボラージュの賢者ぽさが存分に出てていい。
ボラージュの立ち位置的に(SoLと混ざった話になりますが)正直自分の世界を守れればそれでいいんじゃ、という気持ちもあるんですが、彼がなんで戦うか…っていうのは、サガ世界に行って色々な経験をして、それで彼が「この世界には守る価値がある」と思ったからだといいなぁと思うんです。
デューンにサガ世界の未来を託したんですから、デューンのことを輝かしい未来の象徴だと思って欲しい。
ここで初めてボラージュはデューン自身をちゃんと直視したという話です。
デューンはよくわかないままだけど、でもボラージュさんは本当頼りになるぜ!って思ってる。
これをもって私のボラデュは一区切りです。ありがとうございました!

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