23:00 一部加筆修正
永久よさようなら(仮)
GBボラージュとSoLボラージュがアイデンティティを賭けて戦う話
これは私がサガにハマり一番最初に考えていたお話ですが、とても長くなりそうな上非常にメタ要素を含む展開かつキャラ解釈が厳しいかも!と思いプロットという形で宿題提出させて頂きます
いつか余裕が出来て、私の技量が書きたいことに追い付いたら作品として昇華させたいです
かみおとこを小説形式で書いたら分かりにくい書き方になってしまったため、もういっそプロット形式にしています
※独自キャラ解釈含みます
※プロット筋書きです
※「リユニにSoLボラージュが未だ実装されていない(のは何故かというメタ独自解釈を話の展開に組み込んでいる)」というメタ設定を含みます
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GBボラージュの独白
「彼の住処は常に清潔かつ静謐で、一切の諍い事とは無縁の、ひたすらに平穏で美しい世界のように見えた。
しかし同時に、俺はその世界はただ空虚でしかないとも思っていた」
GBボラージュは召喚に応じサガ3世界でも異次元でもないまた別の時空にて他世界から招かれた者達と共に戦っていた。
神や魔物、人、様々な世界から招かれた全ての者達が、それぞれの思惑と意志のもと共闘している。
ボラージュは今回の戦いはただ純粋に、自分たちが招かれた世界を侵略する存在と戦っていくつもりだ。
(この世界にはデューン達も呼ばれている)
「俺は世界の何処かに、完璧な正しさが存在すると思っていた」
ボラージュは退屈で気まぐれな創造神を自称する男(かみ)と、我こそは新しき神だと主張する男(アポロン)と共闘している。
アポロン「あなたの力は一体何でしょうか」
闘いの最中、ボラージュが特殊な戦法で傷を負っていないことに気付いたアポロンは彼に直接尋ねる。
実はボラージュは時間跳躍の術で用いて一人短時間だけ時間移動することが出来るのだ(攻撃が被弾する場所を推測し、その時間軸に存在することを避けることにより被弾せずに戦うことが出来る)
しかしそれを誰にも言いたくはない。
「……それは話したくないな」
かみ「まぁ、貴方にも色々事情があるのでしょう。私達は異なる世界から呼ばれたのですから、あまり詮索しない方がいいですよ」
アポロンは新しい神として特別な力を求めているので、ボラージュの能力に興味を持っている。彼をなだめるかみもそう言いながらボラージュの力には興味を持っているようだ。
かみ「でも、貴方がどんな世界から聞くくらいは良いでしょう?」
そう尋ねられたボラージュは自分がいたサガ世界の話を二人に語り始める。
「……俺の元居た世界は…………異次元からやってきた神が、天上に水瓶を……」
ボラージュにとって「神」とは異次元から侵略してくる恐ろしき存在であり、そんな畏怖すべき神になりたいというアポロン気持ちも、神自身の気持ちも理解できなかった。
(しかしあの神々も、自分達の行いは正しいと思っていたに違いない)
ボラージュはそう考える。
「正確に言うと何処かに正しさが存在して欲しいと願っていたのだ。
しかしどこの時空、どこの世界にも俺が望んでいるような正しさなどなかった」
どの世界から来た者達も皆を揃え、自分達の世界であった戦のことを語る。
どんな世界でも変わらず神と神が、神と人が、人と人が争い続けていく。
神と神の戦いが終われば神と人が、その戦いが終われば人と人が争い、延々と殺戮を続けているのだ。
そこに終わりは無いし、また絶対的な正しさも存在しなかった。
ボラージュは自分が特殊な分岐上の存在だということを理解している。
この世界にはもう一人の自分(リユニボラージュ)がいるが、彼もまた自分とはまた別の時空軸に存在する「ボラージュ」なのだろうと理解している。彼等は同じ存在のようでありながらも異なる存在だった。
自分の存在の不確定さ・不安定さを強く実感しているボラージュは、「正しいこと」に価値観に重きを置いている。
時空の狭間を住処とするもう一人の「ボラージュ」はこの世界に呼ばれる気配はない。
だがボラージュは何故彼がこの世界の召喚に応じないのか知っていた。
彼はこの世界での戦い全てが無意味だと思っているのだ。
ボラージュは暗闇の中、一人自分の住処で嘲笑する彼の姿を思浮かべた。
「今の俺には彼の気持ちがよく理解できる」
「延々と終わりが見えない殺戮など、何の意味もないのだ。
彼は自分の選択こそが正しいと確信しているに違いない。
あの男は、この世界で起こる全ての出来事は無意味で、自分が関わる価値はないと思っている。
そうしてあの男は血と泥にまみれ戦う俺達を蔑むが、彼の隣には誰もいないのだ」
深夜、一人で見回りをしていたボラージュの背後で何か物音が騒めく。
(ボラージュはデューン達四人を連れて遠征に来ている)
一瞬にして警戒態勢に入るボラージュだったが、それはもう一人の自分(SoLボラージュ)だった。
「お前もこの世界に来たのか?」
「キミに呼ばれたからわざわざ出向いたのだがね」
ボラージュは時空の狭間を住処としているので、確かに召喚されなくても単独での時空間の移動が可能だった。
「……何故? 俺は呼んだ覚えなどがないが」
「フフ………… 私がわざわざ言うまでもないだろう」
ボラージュは一度警戒の姿勢を解くが、SoLボラージュは淡々と話を続ける。
「キミも知っての通り、私がこの世界に来る意味はない」と主張するSoLボラージュは、GBボラージュの意図を理解している。
同時に自分がこの世界に来ないのか、GBボラージュが理解していることも知っている。彼もまた「ボラージュ(自分)」だからだ。
SoLボラージュは、ただ単純にGBボラージュと対話しに来たのだった。
「キミは私のことを理解しているように、私もキミのことを理解している。
キミが言えないというのなら、私が言ってやろうか」
「この闘いが終わればまた別の戦いが始まり、その戦いも終わればまた新しい戦いが始まる。
それならば、最初から全ては無意味なのだ」
SoLボラージュは自分の住処(時空の狭間)を守ることに重きを置いており、それが安泰ならばこの世界の戦に加わる必要はないと考えている。
だから彼からしたらGBボラージュは何故こんな無意味な戦いに加わるのかと理解できず、彼を嘲笑する。
GBボラージュから見ればそれは「正しくない」と思う。
だから一人で時空の狭間に閉じこもり、静観を続けている彼のことが許せなかった。
「最初から何の価値もないものに、何故キミは価値を見出そうとするのかね?
私達は、全て見てきただろう」
「デューン達もこの世界で戦っているというのに、お前だけはあの世界に閉じこもる気なのか」
「それをキミが言うかね? 私は選んだのだ。
この無意味な戦いの果てに何がある? 結果として、私はあの空間を維持できればそれでいい」
それがSoLボラージュにとっての「正しさ」でもある。彼はあの狭間でなければ生命を維持出来ないからだ。
二人は暫しの間価値観の相違により言い争いになるが、我慢の限界を超えたGBボラージュは槍を静かに構える。
「そうきたか。君がそのつもりなら私も応じてやろう」
ボラージュはどこからともなく魔法書を取り出し、応戦する。
経験の差よりGBボラージュは圧倒され続けるが、SoLボラージュも攻撃の手を休めない。
本気でぶつかっているので二人は互いに負傷している(ちなみにボラージュ同士なので一瞬の空間・時間移動は見切られている)
「理解できんな。何故君がそこまでこの世界にこだわるのか」
「……そうだ、本当は俺だってこんな世界にこだわる必要はない」
GBボラージュも理解しているのだ。この闘いに終焉は無く、自分が望むような「正しさ」などは何処の時空、何処の世界線にも存在しないと。
ボラージュは血まみれのまま立ち上がる。
「そうだ、お前の言う通りだ。本当は俺もこの闘いに何の価値はないと思っている。
だが、それでも…………」
混沌の世界で数多の命が失われていくのを見て胸を痛め、その虚しさや哀しみさえ、乗り越えていけると思えるものがあるとするならば。
「……俺達はただ、ずっと友達が欲しかったんだ」
ボラージュは寂しそうに笑う。
二人の脳裏に姿は違えど一人の男が過る。
男の笑顔、血に塗れた頭部。男の笑顔、斬りつけた背中。
「誰か、たった一人でもいい、俺のことを理解してくれる、特別な誰かが居るのなら……」
男によく似た子供。子供たちと戦っている自分。
それがボラージュにとっての戦うアイデンティティ、何よりの「正しさ」であると、彼は証明したいのだ。
「だって、たった一人で、永久を生きるなんて、あんまりにも寂しいじゃないか……」
SoLボラージュは魔法書を静かに閉じた。
「……キミがそう思うのなら、私は止めないがね」
その言葉を最後に、SoLボラージュは闇に消えていく。
翌朝。
デューンとシリューがボラージュに挨拶に来る。
「ボラージュさん、昨日は一人で大丈夫でしたか?」
「ああ、この辺は安全な地帯だからな、そんなに心配しなくてもいい」
ボラージュは四人と共に出発する。
頭上には美しい青空。
(彼がまた此処に来たら、今度こそ伝えようと思っている。
この世界に正しさなどは在りはせず、永久に争いは終わらないであろうことを、
ただ歪んで狂っていようが、皆と共に在るこの世界は美しいことを)
ボラージュは三人と話すデューンを見つめていたが、彼と目が合った。デューンは微笑む。
(俺達は共に考えなければいけないのだ。俺達にとっての正しさを)
(了)
私はボラージュさんの、メタ的な見方をしてとんでもなくおもしろいキャラなところが凄い好きだし、儚いと思うんですね
ボラージュって正直第四の壁突破してもおかしくなさそうなキャラ造形だと思っていて、彼にとっての結末って「時空の狭間に生きること」だとしたら、あまりにも寂しい結末だな…と思うんです。それをボラージュ自身に指摘されてほしいと思い、書きたいと構想を考えていました。
私がボラージュのことを大好きなのは、彼がとてもメタ視点で見て面白いキャラなのと、私の癖とかそういうものを刺激するキャラだからが理由の一つです。すごいキャラだ。何回考察しても滅茶苦茶になってよくわかんなくなる。ただそれが「時空の覇者」らしさではあるし、彼が「時空の覇者」であるところなんだろうなと思っている。BGMはずっと神戦と決意の狭間。
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